報告 富士北麓転倒予防フォーラム
富士北麓転ばぬ医療研究会/日本転倒予防学会理事 渡邉 洋
2014年7月19日(土)に富士吉田市民会館「富士山ホール」において開催しました。
1.転倒予防実践セミナー(午前10時~午後0時)
セミナーには実務者35名が参加(遠く札幌からも1名の参加あり)。
北湯口純氏(雲南市立身体教育研究所うんなん 主任研究員/日本転倒予防学会理事)と横山和貴氏(ケアポートみまき温泉アクティブセンター健康運動指導士)のお二人を講師に迎え、転倒予防のための移動能力評価と効果的な運動のエビデンスについての講義をいただきました。また健脚度Rの測定の実際、リズム運動の指や太極拳を応用した転倒予防の体操も丁寧に指導していただきました。
2.市民公開講座(午後1時~午後4時)来場者は230名。
開会に先立ち富士吉田市市長 堀内茂 氏と衆議院議員 長崎幸太郎 氏からご挨拶をいただきました。
市民公開講座~健やかな人生を歩むために~(午後1時~午後2時10分)
『転倒を予防し、健やかで実りある日々を―いくつになっても転ばない5つの習慣―』のタイトルでトモエ医院院長刑部光太郎氏の座長の下、武藤芳照 氏(日体大総合研究所 所長/日本転倒予防学会理事長)に講演をいただきました。
武藤氏の自己紹介から始まり、序:使わなければダメになる(Use, or lose it)の後、本題の[いくつになっても転ばない5つの習慣]が以下の5項目と結語で結ばれました。
1.頑張らない運動で、からだを動かそう
2.日光を浴びて散歩しよう
3.無理なく楽しくエクササイズを続けよう
4.足の裏の感性を磨こう
5.もっとこまめに水を飲もう
結.からだを動かし 心を動かす
「むずかしいことを やさしく やさしいことを ふかく ふかいことを おもしろく」お話しいただき聴衆からも大変好評でした。
3.実践報告(午後2時20分~午後3時)
宮下正彦氏(山梨赤十字病院リハビリテーション部係長)により『当院リハビリテーションにおけるバランス能力の向上を目指した関わり』のタイトルで、転倒予防に深く関わる、バランス能力に着目した取り組みの報告がありました。続いて岩田麻里氏(富士吉田市立病院 医療安全管理師長)による『富士吉田市立病院の転倒・転落の現状と予防策』についてのタイトルで、もともと病気で転倒しやすい患者さんの行動や環境の分析から予防策を検討し昨年度は転倒・転落事故の増加に歯止めをかけることができたが、今後更に検討を続けるとの報告がありました。
4.みんなで討論(午後3時~午後4時)
座長に武藤芳照氏(日体大総合研究所 所長/日本転倒予防学会 理事長)をお願いし、以下の3名のパネリストが参加しました。・岩田麻里氏(富士吉田市立病院 医療安全管理師長)・江黒 剛(山梨赤十字病院整形外科部長)・渡邉 洋(渡辺整形外科院長/日本転倒予防学会理事)
Qなぜ、いつ頃、看護士もしくは医師になろうと思ったか。Q自分自身や家族で忘れられない転倒・転落事例は?Q認知症施設での転倒予防に関しての考えは?などの討論が行われ、最後に武藤芳照氏がこのフォーラムを富士吉田にちなんで フ:普段の暮らしが自然な訓練、ジ:人生の転倒予防、ヨ:よく水を飲む、シ:しっかり歩く、またぐ、昇って降りる、ダ:「大丈夫ですか?」とは尋ねない、と総括し幕を閉じました。
聴衆のアンケート結果(回収158名)では講演内容が本当に分かり易く、今後の生活の上で大変参考になったという意見が多数を占めました。今後のこの地域での連携や取り組みが活発になるように考えていきたいと思います。以上簡単ですがご報告いたします。