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学会について

理事長挨拶

      

 日本は、今や高齢者人口比が、25%(4 人に1 人の割合)となり、超高齢社会を迎えました。国民医療費は年間38 兆円を超え、健康で長寿であることは、一人ひとりの高齢者の切なる願いであるばかりでなく、地域社会にとっても国にとっても、きわめて重要な目標となっています。
 高齢者の転倒は、大腿骨骨折や頭部外傷等の重大な傷害を招き、結果、寝たきり・要介護状態をきたすことがある重要な学術的課題であると共に解決すべき社会的課題でもあります。
 また、転倒事故を原因として死亡に至るいわゆる「転倒死」の事例は、今や年間7,000 件を超え、交通事故死7,500 件に迫る状況となっています。しかも、かつて約15,000 件であった交通事故死は、社会全体の様々な取り組みによって半減しましたが、転倒死は、年々増えており、高齢化の一層の進展に伴って、さらに増加が見込まれています。
 こうした現状を背景に、「転倒予防」は、喫緊の学術的・社会的課題であるという認識の下に、平成16(2004)年4 月、「転倒予防医学研究会」は発足し、多職種連携を基本に、10 年間の学術的・社会的活動を推進して参りました。
その学術的成果、社会的実績を基盤として、本年4 月より、「日本転倒予防学会」を設立する運びとなりました。研究会名称には、「医学」の文字が入っておりましたが、今般は、医学・医療及び看護・介護・福祉分野・領域を中心としつつも、それらに留まらず、幅広く、多様な分野・領域の専門家や実践家の知識・技術・経験等を集めて、学術研究をより一層深めると共に、より具体的で実効のある社会的対応を計画・実現しつつ、随時、学術的・社会的提言等を発信していきたいと希望しています。
転倒予防の必要性は、真に広く多彩です。転倒による大腿骨頚部骨折、その後の寝たきり・要介護という高齢者の事例の他、病・医院内での患者さんの転倒や介護・福祉施設内での入所者・利用者の転倒事例。一般道路・公共施設・鉄道駅構内や電車・バス・航空機・船内での老若男女の転倒事例、視覚障害者や車イス使用者等の転倒事例、デパートやホテル、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等商業施設等での転倒事例等。様々な場面での転倒事故の事例を幅広く収集・整理し、その要因を分析すると共に、多職種連携で学術的研究を推進し、一つひとつ問題点を解決していかなければならない、壮大な社会的課題が転倒予防であると考えています。

 つきましては、この趣旨をご理解いただき、学会への参画・協力・支援について何卒宜しくご高配下さいます様、お願い申し上げる次第です。

平成26(2014)年4月1日
日本転倒予防学会理事長
武藤 芳照